ここからは、6Gを支える要素技術について見ていこう。
まずは移動通信システムの過去の世代から6Gまでの技術進化を示す(図4)。3Gまでは各世代を象徴する無線アクセス技術(RAT▼)として、代表的な技術が1つ存在した。
これに対し4G以降は、OFDM▼方式をベースとした複数の無線技術の組み合わせでRATを構成している。これは、OFDM方式をベースとした無線技術により、すでに「シャノン限界▼」に近い周波数利用効率が実現できているためだ。そこで移動通信システムに求められる要求条件や、周波数帯、ユースケースを継続的に拡張することで進化を続けている。
従って、6Gでは5Gの発展仕様である「5G evolution▼」を経て、さらに多くの無線技術の「組み合わせ」が必要になる。
6G向けのネットワークの新形態
6Gでは、超高速大容量化(特に上りリンク)や無線通信の信頼性向上を実現するため、近距離や見通し環境での通信、経路(パス)の選択肢が多く冗長性の高い通信が望まれる。
これらの条件を満たすには、従来と異なる分散したネットワークの形態が必要となる。旧世代のセルラーネットワークは、セル同士が干渉しないように6角形のセルで構成することが理想とされた(図5)。4Gからはある程度セルを重複させることで、見通し環境を増やしパス選択の余地を増やす「ヘテロジニアスネットワーク」が導入された。
6Gではこれをさらに拡張し、周囲の移動端末や非陸上ネットワーク(NTN▼)も含めて通信経路を大幅に増やす新しいネットワーク形態が求められる。NTTドコモではこれを「分散ネットワーク高度化(New Radio Network Topology)」と呼んでいる。