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 パソコンやサーバー、プリンターなどの機器をつないでLANを構築すると、データ共有などが容易になる。そうしたLANを構築する上で欠かせない機器が「ネットワークスイッチ」だ。

 スイッチと名が付くものの、電源スイッチとは全くの別物だ。ネットワークスイッチは、パソコンなどをLANにつなげる集線装置である(図1-1)。ネットワークスイッチの代表格は、レイヤー2(L2)の通信に特化した「L2スイッチ」。LANスイッチとも呼ばれる。L2に加えて上位層であるレイヤー3(L3)の情報を扱える「L3スイッチ」もある。

図1-1●複数の機器をネットワークに接続
図1-1●複数の機器をネットワークに接続
ネットワークスイッチは、パソコンやネットワーク機器をLANにつなげる集線装置である。
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宛先だけにフレームを届ける

 まずはL2スイッチについて詳しく見てみよう。どのような機器で、なぜスイッチと呼ぶのか。イーサネットが普及し始めたころに使われていた集線装置であるリピーターハブと比べると分かりやすい。

 リピーターハブは、ある端末が送信したMACフレームを受け取ると、すべてのポートに中継する。入力された電気信号を整形および増幅してすべてのポートに伝える単純な仕組みで、製品は安価だった。企業ネットワークで広く使われていた。

 しかし、リピーターハブは接続機器の数が増えるにつれて、通信速度が遅くなる欠点が目立ち出した。受け取ったMACフレームを全ポートに流すため、ある機器の通信が終わるまで他の機器は待つことになるからだ。

 複数の機器が同時に通信するとMACフレームが衝突して壊れてしまう。これを回避するため、ある機器がフレームを送信しているのを検知すると、他の機器は送信を控える。例えばA、B、C、Dというパソコンがつながっているとする。ここでAとBが通信している間は、CとDはフレームを送信しない(図1-2左)。

図1-2●リピーターハブとスイッチの違い
図1-2●リピーターハブとスイッチの違い
リピーターハブが受け取ったMACフレームをすべてのポートに転送するのに対し、スイッチは宛先の端末が接続されているポートだけに転送する。このためMACフレームを効率良く送受信できる。
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 複数の機器がたまたま同時にフレームを送信して衝突した場合は、接続しているすべての機器に対してジャム信号を送信する。ジャム信号を受信した機器は通信を一定時間停止し、ランダムな待ち時間を置いて再送する。

 この仕組みをCSMA/CDという。この仕組みによりリピーターハブでは接続機器が増えるほど通信待ちの発生確率が高まり、機器間の通信速度が低下する。

 そこで登場したのがL2スイッチだ。宛先ごとにMACフレームの転送先を切り替える「スイッチング」と呼ばれる機能を備える(同右)。この切り替え機能を備えるためにスイッチと呼ばれる。

 スイッチングによって宛先以外のポートにはMACフレームが送られない。このためそれぞれのポートで同時にフレームを送信できる。

 LANスイッチは1990年代の登場当初は高額だったが、リピーターハブとの価格差は次第に縮まり、置き換えが進んだ。