QoS▼を使えば、限られたネットワーク帯域を効率的に利用でき、通信の品質を高められる。また、重要な通信の品質を保証できる。
だが使い方を誤ると、通信品質をかえって低下させてしまう恐れがある。そこで今回は、QoSを利用する際の禁じ手を紹介する。
輻輳が発生しても品質を維持
通信品質の低下に大きく関係するのが輻輳だ。輻輳とはネットワーク機器や回線といった特定の箇所に通信が集中し、パケットの処理が滞る状態である(図1)。例えばルーターに流れ込むパケットの合計が、パケットの出口となるインターフェースや回線帯域より大きければ輻輳が発生することになる。送信しきれなかったパケットは破棄され、通信の遅延や切断につながる。
QoSを利用すれば、こういった状況を緩和できる。QoSは主にバッファリングとキューイングという2つの仕組みを使って、通信品質を維持する(図2)。まずバッファリングとは、送りきれなかったパケットを一時的にためておく仕組みである。ネットワーク機器のメモリーにバッファー領域を作ってパケットをため、帯域が空き次第送信する。バッファー領域に入りきらなかったパケットは破棄する。
次にキューイングとは、優先度に応じてパケットの送信順を変える仕組みである。複数のキュー▼を用意し、キューごとに処理するパケットの種類と送信の優先度を設定する。パケットの優先度、重要度によって使うキューを分けることで、輻輳が発生した際の影響を最小限に抑える。
キューには優先キューと帯域保証キューがあり、どちらを使うかは通信の種類ごとに指定する。優先キューに入ったパケットは最優先で送信される。他のキューは、優先キューが空のときだけパケットを送り出せる。
帯域保証キューは、キューごとに利用できる帯域幅を保証する。「bandwidth ○○kbps▼」といったようにビットレートで指定したり、「利用可能な帯域幅の何%を割り当てる」というように割合で指定したりできる。