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 コロナ禍をきっかけに、2020年以降Web会議が急速に普及した。主にSaaSとして提供されるWeb会議は品質の向上が著しく便利だが、ネットワーク管理者泣かせでもある。通信環境が悪いと使い物にならないからだ。

 そこで有用なのが、無線LANアクセスポイント(AP)や端末などが備えるQoSという機能である。QoSによりWeb会議の通信を優先させるのだ。QoSを備えるとうたう製品は多い。

 だがこの機能に頼り切るのは禁じ手だ。適切に機能しない場合があるからだ。

 そこで今回は、Web会議の特性や無線LAN通信の基本から、無線LANにおけるQoSの仕組みおよびQoSに頼らない通信の改善方法を解説する。

人間の知覚は敏感

 視覚、聴覚といった人間の知覚は敏感なので、Web会議は他のアプリケーションよりも通信品質が一層重要になる。

 例えばWeb会議の映像にノイズが入るとほとんどの人が気がつき不快感を覚える(図1)。音声の場合はより顕著だ。音声が遅延したり途切れたりすると、会議の進行がままならなくなる場合もある。

図1●無線LAN環境のWeb会議では問題が発生しやすい
図1●無線LAN環境のWeb会議では問題が発生しやすい
人間の知覚は敏感なので、Web会議は他のアプリケーションよりも通信品質の影響を受けやすい。このため、特に通信品質が変動しやすい無線LAN環境では、他のアプリケーションよりもWeb会議の優先度を高めるQoS(Quality of Service)が不可欠になる。
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 そこでWeb会議のようなアプリケーションを、通信品質が変動しやすい無線LAN環境で使う場合にはQoSが重要になる。QoSとは、ネットワークが提供する通信サービスの品質を指す。品質を保証することや、そのための技術をQoSと呼ぶこともある。ここでは品質を保証する技術や機能をQoSと呼ぶ。ネットワークの品質は「パケットロス」「遅延」「ジッター」の3つの項目で示される。QoSはこれらをコントロールすることで通信の品質を保証する。