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 まずは無線LANの最新規格である「Wi-Fi 6」について説明しよう。無線LANルーターを買うなら、是が非でもWi-Fi 6に対応した製品を選びたい。Wi-Fi 6は従来に比べて、大幅に通信速度が向上したからだ。

愛称で世代を表現

 Wi-Fi 6とは、無線LANの規格であるIEEE 802.11axの愛称だ。IEEE 802.11axはIEEE 802.11acの後継規格である。

 Wi-Fi 6という愛称は新旧の無線LAN規格を比較しやすいように、無線LAN製品の普及推進団体であるWi-Fiアライアンスが定めた。規格名で比較すると、IEEE 802.11axとIEEE 802.11acの違いは最後の1文字だけ。だが実際には「世代が違う」というくらい大きな違いがある。そこで数字で世代を明確に表現して、区別しやすくしようというわけだ。ちなみにIEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」、IEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」という愛称が与えられている。

高速化と多数端末の接続を可能に

 市場でもWi-Fi 6対応無線LANルーターは順調に販売を伸ばしている(図1)。すでに平均単価は1万2500円前後となり、Wi-Fi 5対応製品と大きな差はない。その結果、2021年4~5月には販売比率が約40%に達している。

図1●「Wi-Fi 6対応の無線LANルーター」が順調に伸びている
図1●「Wi-Fi 6対応の無線LANルーター」が順調に伸びている
店頭での販売比率は約4割に達した。平均単価も2020年11月は1万4500円前後だったが、2021年5月には1万2500円前後まで低下した。BCNの調査結果に基づく。
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 Wi-Fi 6の特徴は、環境によっては有線LANよりも速くなること。さらに、複数台の端末を接続したときの速度低下を抑えられる仕組みが備わった。また接続する端末の消費電力を抑える機能も魅力的だ。

 実際にそうなのかを調べるために、Wi-Fi 6対応製品で実験した。この結果を見れば、Wi-Fi 6対応製品を選んだほうがよい理由が分かるだろう。

10Gbps近い速度が魅力

 Wi-Fi 6の魅力はその通信速度だ。規格上の最高速度は9.63Gビット/秒(bps)で、Wi-Fi 5の6.9Gbpsから約1.4倍に高速化した。

 とはいえ無線LANの場合、通信速度の実測値(スループット)と規格上の最高速度に大きな差がある。そこで、Wi-Fi 6に対応したパソコンと無線LANルーターを用意して通信速度を測定した。

 実験では、パソコンとルーターの距離が1mの場合と10mの場合のそれぞれで、Wi-Fi 6の通信速度とWi-Fi 5の通信速度を測定した。また比較対象として、有線LANで広く使われている最高速度1Gbpsの1000BASE-Tの通信速度も測定した。

 1mの距離ではWi-Fi 6で約1.5Gbpsも出ていた(図2上)。これは1000BASE-Tよりも速い。Wi-Fi 5では約650Mbpsだったので、Wi-Fi 6で2倍以上に向上したことになる。

図2●Wi-Fi 6は有線LANより高速
図2●Wi-Fi 6は有線LANより高速
無線LANルーターのWAN端子に2.5GBASE-Tでつないだサーバーからパソコンがファイルをダウンロードする速度(スループット)を測定した。無線LANルーターにはバッファロー「WXR-5950AX12」を使用した。
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 10mの距離では、Wi-Fi 5が約560Mbpsだったのに対して、Wi-Fi 6は1Gbps弱だった(同下)。距離が長くなるとWi-Fi 6のほうが低下する割合が大きいが、それでも1000BASE-Tに匹敵する通信速度が出ていた。