フリーアドレスやスマートフォンの利用などが進み、オフィスにおける無線LANの利用は当たり前になってきている。しかし無線LANは目に見えない電波を使うため、トラブルが発生した場合に原因の究明が難しい。
そこで今回は、クラウドを活用した無線LANのトラブル解決手法を紹介する。
これまで無線LANでトラブルが発生すると、現地に赴いてトラブル発生箇所の切り分けやパケットキャプチャーなどを実施して原因を明らかにする必要があった。しかし、近年登場してきたクラウドサービスを活用すると、遠隔地から無線LANのパケットをトラブル発生時に遡って取得したり、人工知能(AI)や機械学習を使ってトラブルの原因を特定したりできる。こうした機能は、これからの製品選定における重要な要素の1つになるだろう。
無線LANの通信状況を数値化
無線LANの管理方式には、オンプレミス管理型とクラウド管理型がある(図1)。前者は無線LANコントローラー(WLC▼)となる機器を自社で所有する。WLCを使って複数の無線LANアクセスポイントを一元管理する。
後者はクラウドサービスとして提供されるWLCを利用する。今回はクラウド管理型が主題だが、まずはオンプレミス型が備えるリモート環境に向けたトラブル解決機能を紹介しよう。
その1つが無線LANの通信状況を数値化する機能である。例えば米シスコシステムズのネットワーク管理ツール「Cisco DNA Center」が備える「DNA Assurance」が該当する。
電波強度(RSSI▼)や信号対雑音比(SNR▼)といった電波の品質だけでなく、無線LANの接続や認証、IPアドレスの取得などにかかった時間などを基に通信状況を数値化する(図2)。数値は「Health(健全度)」などと呼ばれる。
数値化によって、無線LAN端末の接続状態はもちろん、拠点や地域といった単位でも無線LANの通信状況を把握できる。
さらに無線LANの通信状況が悪化した際や、トラブルが発生した際には、「どこでどのようなトラブルが発生したか」「そのトラブルにどのように対処すればよいか」が画面に表示される。
例えば「ケーブルの抜けを確認しなさい」「showコマンドのこのサブコマンドを使って状態を確認しなさい」といった具体的な提案も表示される。また指定した機器にパケットキャプチャーを実行させることも可能だ。