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 2点目のRTTの計測は、トラブルの原因箇所を特定するのに役立つ。クラウドサービスとの通信が非常に遅くなった場合、原因が社内にあるのか社外にあるのか切り分ける必要が出てくる。

 その際に有用なのがRTTの計測だ。社内ネットワークとインターネットの間に測定機器を設置して、TCPパケットのSYNとACKの情報からRTTを計測する(図4)。測定方法はIETFのRFC 6349で規格化されている。アンリツや米ヴァイアヴィ・ソリューションズなどはこの規格に対応した計測機器を販売している。英スパイレントはクラウド型の試験サービスを提供している。

図4●RTTを計測してトラブルの原因箇所を特定する
図4●RTTを計測してトラブルの原因箇所を特定する
SYNパケットの送信からACKパケットが受信するまでの時間(RTT)を計測することで、社内ネットワークと社外ネットワークのどちらに原因があるのか調べられる。一般的にはRTTが長いほうに原因があると考えられる。
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 社内システムからクラウドサービスへのSYNパケットの送信とそれに対するSYN/ACKパケットの受信までの時間をクラウドサービス側のRTT、SYN/ACKパケットの受信からACKパケットの送信までの時間を社内側のRTTとしてそれぞれ計測する。クラウドサービス側のRTTが長い場合はクラウドサービス側に問題がある可能性が高い。社内ネットワーク側のRTTが長い場合は社内のネットワーク環境を調査する必要がある。

 ただしRTTの値は時間帯により大きく変わる。RTTの値を日々測定しておき、値が通常時から逸脱した場合にはアラートを出して知らせるような仕組みが必要である。

 3点目の応答時間の計測では、利用しているクラウドサービスに対して、HTTPやHTTPSのリクエストを送信し、その応答時間を計測して可視化する(図5)。HTTP/HTTPSを使用することでクラウドサービスへのアクセスを疑似的に再現できる。実際の体感に近い計測結果が得られる。

図5●Webトランザクションによる応答時間を計測する
図5●Webトランザクションによる応答時間を計測する
クラウドサービスに対するHTTP/HTTPSリクエストの応答時間を計測することで、実際の体感速度に近い結果を得ることができる。
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 応答時間を測定するツールは複数ある。例えば米グーグルの「PageSpeed Insights」や「Lighthouse」、米サウザンドアイズの「ThousandEyes」、オープンソースソフトの「WebPageTest」といったツールを利用できる。