インターネットで使用するプロトコルとして生まれたIPv4▼。その次世代規格としてIPv6▼は開発された。基本的な機能はIPv4とIPv6で変わりはないので、一般のユーザーはIPv6を使っていても気づかないだろうが実は着々と普及している。
IPv6の利用比率は右肩上がり
米グーグルは、自社のWebサービスにIPv6でアクセスしているユーザーの比率を公表している▼。
これを見ると、IPv6のユーザー比率は右肩上がりなのが分かる。2008年9月はわずか0.05%だったのが、2020年9月には33%を超えるまでに増えた(図1-1)。
グーグルは大手コンテンツ事業者の中で早くからIPv6対応を進めてきた1社だ。このようにIPv6の比率が増えているのは、ネットワークと端末のIPv6対応が徐々に進んでいることを意味している。
2020年の春ごろからの推移を見ると、新型コロナウイルスの影響とみられる興味深い動きがある。もともとIPv6の比率は、週末になると増え、平日になると減る。企業に比べIPv6が普及している家庭からのトラフィックが増えるからだと日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)▼は分析している。それが3月から5月にかけて、平日の落ち込みが減るようになった。これはコロナ禍で世界的に「ステイホーム」が推奨され、平日の家庭からのトラフィックが増えたためだとJPNICはみている。
モバイルでは約3割が利用
モバイル通信のIPv6の対応はどうだろうか。モバイル通信でIPv6対応コンテンツにアクセスするには、モバイルネットワークと端末の両方がIPv6に対応している必要がある。
端末についてはまだIPv4にしか対応していない古い携帯電話やスマートフォンも使われているが、最近の製品はIPv6にも対応している▼。一方でネットワークもIPアドレスを払い出すパケット交換機▼がIPv6に対応している必要がある。KDDIによると、2017年より後に導入した交換機であればIPv6に対応しているという。
実際にIPv6で通信しているモバイル端末の比率はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクを合わせて、2018年7月に17.1%、2019年7月に24.6%、2020年7月には35.4%と順調に伸びている。