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 Q1で新しい端末は基本的にIPv6に対応していると説明したが、実はどの仕様に対応しているかを細かく見ていくと異なる点が多い。東京工業大学 学術国際情報センター 准教授の北口 善明氏らのグループはクライアントOSのIPv6に関する実装状況を検証した。その結果に基づき、IPv6アドレスの割り当て方法を中心に対応状況を確認しよう。

AndroidはDHCPv6非対応

 まずSLAACのRDNSS対応状況について見ていこう(表5-1)。検証したOSはすべてSLAACそのものには対応していた。

表5-1●IPv6アドレス情報の取得や生成に関するクライアントOSの対応状況
AndroidはDHCPv6に対応していない。ここでは固定で使われるアドレスを調査対象としており、ランダムに変化するプライバシー拡張アドレスは対象外。「リリース日」は検証したOSがリリースされた日を記載した。東京工業大学の北口 善明氏の資料に基づき作成した。
表5-1●IPv6アドレス情報の取得や生成に関するクライアントOSの対応状況
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 Windowsでは、2013年登場の古いWindows 8.1こそRDNSSに対応していないが、Windows 10は対応済みだ。Androidも状況は似ている。2014年に登場したAndroid 4は非対応だが、Android 5以降では対応している。

 続いてDHCPv6の対応状況はどうだろうか。特徴的なのは、Androidは新旧含め、DHCPv6に一切対応していない点だ。

 これにはAndroidの開発元であるグーグルの考え方が反映されている。同社はDHCPv6を使うと1個のインターフェースに1個のアドレスしか割り当てられなくなり、たくさんのアドレスを使えるIPv6のメリットが生かせなくなると主張。SLAAC+RDNSSが本道であると態度で示している。

進化するインターフェースID

 続いてインターフェースIDの生成方法について見ていこう。

 RFCで規定された標準の生成方法としては、大きく3種類がある。

 1つは最初に作られた仕様で、RFC 4291で規定された「Modified EUI-64」という方法だ。これはMACアドレスに基づいて生成する方法で、常に一意のインターフェースIDが作られる。インターフェースIDから元のMACアドレスを求めることも可能だ。インターフェースIDが一意に決まるため、送信元の追跡が可能になる。またMACアドレスも特定されてしまう。

 こうした問題を解決するため、RFC 4941で「プライバシー拡張アドレス」が規定された。これは定期的にランダムな値を生成する方法だ。これでプライバシーやセキュリティーの問題は解決される。ただし定期的にアドレスが変わってしまうため、企業ネットワークなどで管理するのが難しいという新たな問題が発生する。