今後、無線LANはどのように使われていくのだろうか。最終回である今回は、無線LANが将来的にどのように変わっていくのかを予測していきたい。
ここ数年、無線LANに対応した端末の数が増加していることもあり、「アクセスポイントにつながらない」「通信が頻繁に切れる」「通信が遅い」といった声が後を絶たない。こうした声を通してユーザーが求めているものを簡潔に表現すれば、「つながりやすさ」ということになるだろう。
つながりやすさを実現するための技術は大きく2つに分類できる。「切れにくくする技術」と「切れたことを感じさせない技術」だ(図1)。これらの技術を組み合わせて、無線LANサービスを提供する必要がある。
図の縦軸は、そうした技術がハードウエア寄りかソフトウエア寄りかを示している。実際には、どちらか一方だけで対策するケースは少ない。うまく組み合わせることが重要だ。
切れにくくする技術は、規格で決められているものが多い。具体的には「アンテナ制御」「RF▼回路調整」「ローミング高速化」「遅延制御」「チャネル制御」「マルチバンド」などが挙げられる。こうした切れにくくする技術は、ハードウエアやドライバーで調整できることが多い。
一方、切れたことを感じさせない技術は、ソフトウエアによる対策が中心だ。切れる時間を最小化することで、切れたことをユーザーになるべく感じさせないようにする。効果は大きいが、選択肢が少ない分、対策できる範囲は限られる。具体的な手法としては「無線の見える化」「遠隔監視」「環境分析」「統合管理」などがある。
これらの技術を、利用環境に応じて効果的に組み合わせることで、つながりやすい無線LANサービスを実現する。こうした試みは、特に企業では欠かせない。
全チャネルは同時に使えない
無線LANの将来を予測するうえでは、周波数の割り当て状況を考慮することも不可欠だ。無線LANに対する現在の周波数割り当て状況を確認してみよう。