LANスイッチ(スイッチ)は、複数の機器をネットワークに接続する集線装置の1つ。複数のポートを備えており、データ(フレーム)を受け取ると、宛先の機器が接続されているポートだけに送信する。
イーサネットが普及し始めた当初は、ネットワークの接続を分岐させる機器として「リピーターハブ」が広く使われていた。リピーターハブは、受け取ったフレームをすべてのポートに流す(PICT1)。各機器は自分宛てのフレームであれば受け取り、そうでなければ破棄する。
機器の増加で通信速度が低下
リピーターハブの仕組みは単純だ。入力された電気信号を整形、増幅してすべてのポートに伝える。仕組みが単純なので安価に実現できる。しかしリピーターハブは、接続機器の数が増えると通信速度が低下してしまう。ある機器間で通信をしている間は、ほかの機器は通信できなくなるためだ。
リピーターハブは、受け取ったフレームをすべての接続機器に流すので、別々のポートで同時に信号を受信して処理しようとすると信号が衝突してしまう。このため、これから通信しようとする機器は、他の機器の通信が終わるまで待たされる。
もし複数の機器が同時に通信を始めようとした場合、リピーターハブは衝突が起きた状態を疑似的に作り出して衝突を回避する。具体的には、別々のポートで同時に信号を受信したことを検知すると、衝突が発生したことを知らせるジャム信号をすべての接続機器に送信する。ジャム信号を受信した機器は通信を一定時間停止し、機器ごとにランダムな待ち時間を置いて再送する。
こうしたことから、接続機器が増えると、それだけ通信待ちや疑似衝突の発生確率が高まり、通信速度が低下しやすい。