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 データセンター(DC:Data Center)は、情報システムを構成するサーバーやLANスイッチ、ルーターなどの機器の設置・運用に特化した施設である。もともとは金融機関の勘定系システムなど、大企業が基幹業務システムを運用するための施設として自前で保有していた。その当時は「電算センター」などと呼ばれていた。

 DCには災害や情報漏洩の対策として、耐震・免震構造や非常用自家発電機、入退場管理システムといった様々な仕組みや設備が必要になる。自前でDCを保有するのは、多くの企業にとってハードルが高い。一方で、情報システムの利用が一般化し、中小規模の企業もDCを必要とするようになった。そこで、情報システムを預かる場所を貸し出す「商用DC」が登場した(PICT1)。

PICT1●企業の情報システムを預かる
PICT1●企業の情報システムを預かる
(イラスト:なかがわ みさこ)
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DCサービスは大きく2種類

 商用DCで提供されるサービスは大きく2つある。1つは、サーバーやディスクスペース、通信環境を貸し出す「ホスティング」である。日本では2000年代初頭からインターネット接続サービスとともに利用が広がった。最近では「IaaS(Infrastructure as a Service)」などクラウドサービスへの移行が進みつつある。

 もう1つは、サーバーなどの置き場所を提供する「コロケーション」または「ハウジング」と呼ばれるサービスだ。DC事業者が電源や通信環境を用意しておき、ユーザー企業がサーバーなどの機器を持ち込んでシステムを構築する。

 コロケーションのユーザー企業には、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米マイクロソフトといった大手のクラウドサービス事業者も含まれる。大手クラウド事業者でも、本国以外の国や地域では商用DCを利用するケースが少なくない。