コンピューターネットワークの分野で「ループ」は、ネットワークの経路が物理的に輪(ループ)になった状態を指す。
大規模なネットワークトラブルを引き起こす原因であり、企業などのネットワークではたびたび発生することで知られる。ネットワーク管理者を悩ませる、頭の痛い問題の1つだ。
混雑して通信できなくなる
例えば、1本のLANケーブルの両端を同じスイッチにつないだ場合にループが発生する。
ループが発生すると、ネットワークにブロードキャストストームという現象が起こる。この現象によって、ネットワーク全体で通信できなくなる。
ブロードキャストストームとは、ネットワークを流れるデータがブロードキャストフレームで飽和状態になること。これを輻輳と呼ぶ。ブロードキャストフレームは同じネットワークにある機器に同報通知(ブロードキャスト通信)するためのフレーム。ARPやDHCPといった通信プロトコルで使われる。
輻輳が発生する仕組みは次の通りだ。例えばサーバーからDHCPでIPアドレスを割り当てられたパソコンは、「私がこのIPアドレスを使います」というメッセージをブロードキャスト通信する。このメッセージを載せたブロードキャストフレームをスイッチが受け取ると、すべてのポートにそのフレームをそのまま送り出す。これを繰り返して、ネットワーク全体にブロードキャストフレームが届く。
ループが発生していると、ブロードキャストフレームを送り出したスイッチに、送り出したブロードキャストフレームが届くことになる(PICT1)。スイッチはブロードキャストフレームが届いたので、すべてのポートにこのフレームを再度送り出す。こうしてネットワークを流れるブロードキャストフレームが増え続けて、輻輳になる。