ドメイン名はいわばインターネット上の住所表示。企業などの組織がWebサイトを開設したり、Webサービスを提供したりするとき、覚えやすい名称を使ったドメイン名を登録する。例えば、米グーグルのドメイン名は「google.com」であり、日本のヤフーのドメイン名は「yahoo.co.jp」である。
ところが便利なはずのドメイン名で、Webサイトにアクセスできなくなったり、アクセスしようとしたときに警告が表示されたりするトラブルが発生している。
本特集では、ドメイン名にまつわるトラブル(ドメイントラブル)の実例を取り上げ、トラブルの発生を防ぐ対策や、万が一トラブルを引き起こしてしまったときの対処法を紹介していく。
IPアドレスの代わりに利用
まずはドメイン名の役割や登録方法を確認しよう。
ユーザーがWebサイトにアクセスするには、サイトやサービスが稼働するWebサーバーのIPアドレスをWebブラウザーが知る必要がある。ただ「xxx.xxx.xxx.xxx」といった最大12桁の数値▼などで表現されるIPアドレスは人間にとって覚えにくく、第三者に伝えにくい。そこでIPアドレスの代わりに、組織名やサービス名などをアルファベットや数字で表現したドメイン名が利用される。
ドメイン名はDNS▼という仕組みを使って、IPアドレスにひも付いている。このDNSが安定的に稼働するように、インターネットのリソースを管理する非営利団体のICANN▼やドメイン名の登録管理組織であるレジストリがドメイン名の運用方針を決めている。
ドメイン名の最後のピリオド以降にある文字列をトップレベルドメイン(TLD)と呼ぶ。TLDごとに管理するレジストリが決まっている。例えば、「jp」で終わるドメイン名(JPドメイン)のレジストリは日本レジストリサービス(JPRS▼)、「com」で終わるドメイン名(COMドメイン)のレジストリは米ベリサインである。
ユーザーがドメイン名を登録するときは、レジストリと契約して登録業務を行うレジストラ(登録事業者)か、レジストラの代理店であるリセラーに申し込む(図1-1)。登録後のドメイン名に関する手続きは、窓口になったレジストラやリセラーを通じて行う。
ドメイン名の登録者情報(WHOIS情報)は、レジストリが管理する。WHOIS情報には、ドメイン名を登録した組織や管理担当者の連絡先などが記録される。