Webサイトを閲覧している際に、あるWebサイトで目にしたのと全く同じネット広告が、別のWebサイトでも表示された経験はないだろうか。こういったことが起こるのは、ユーザー(Webブラウザー)の行動履歴が追跡(トラッキング)されているためだ。
Webサイトをまたいで追跡
トラッキングにはさまざまな方法があるが、主にCookie▼が利用されている。ユーザーがアクセスしているWebサイトから発行されるCookieをファーストパーティーCookie、それ以外のWebサイトから発行されるCookieをサードパーティーCookieと呼ぶ。ユーザーのトラッキングにはサードパーティーCookieが使われる。
例えばWebサイトXの画像が埋め込まれたWebサイトAのWebページにアクセスすると、WebサイトXのCookieがユーザーに送られてくる(図2-1)。Cookieにはユーザーを識別するための情報(ID)が含まれている。
このCookieは、WebサイトXの広告が埋め込まれたWebサイトにアクセスするたびにWebサイトXに送られる。つまり、Webサイトをまたいでユーザーをトラッキングできる。これにより、WebサイトAで表示したのと同じ商品の広告を、WebサイトBで表示させることなどが可能になる。
Webサイトをまたいで同じ商品の広告が表示されるのは個人的に気持ちが悪いと感じている。同じ思いをしているユーザーは多いだろう。
このためGDPR▼(EU一般データ保護規則)では、Cookieの取得や個人情報の収集の際には、利用目的を提示してユーザーに許諾を得る必要があると定めている。これを受けて最近では、Cookieの許諾を求めるダイアログボックスを表示するWebサイトが増えている。
Webブラウザーの多くもトラッキングを防止する機能を備えている(図2-2)。ファーストパーティーCookieを含むすべてのCookieをブロックすると、ログイン状態を維持できないなどの不具合が発生する。このためサードパーティーCookieのみをブロックするのが現実的だ。
またiOSでは、バージョン14.5からATT▼と呼ばれる仕組みが搭載された。Webサイトをまたいでユーザーをトラッキングするようなアプリの起動時に、ユーザーに許諾を求める仕組みである。