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 Webサイトを閲覧している際に、あるWebサイトで目にしたのと全く同じネット広告が、別のWebサイトでも表示された経験はないだろうか。こういったことが起こるのは、ユーザー(Webブラウザー)の行動履歴が追跡(トラッキング)されているためだ。

Webサイトをまたいで追跡

 トラッキングにはさまざまな方法があるが、主にCookieが利用されている。ユーザーがアクセスしているWebサイトから発行されるCookieをファーストパーティーCookie、それ以外のWebサイトから発行されるCookieをサードパーティーCookieと呼ぶ。ユーザーのトラッキングにはサードパーティーCookieが使われる。

 例えばWebサイトXの画像が埋め込まれたWebサイトAのWebページにアクセスすると、WebサイトXのCookieがユーザーに送られてくる(図2-1)。Cookieにはユーザーを識別するための情報(ID)が含まれている。

図2-1●サードパーティーCookieでユーザーをトラッキング
図2-1●サードパーティーCookieでユーザーをトラッキング
サードパーティーCookieを使えば、Webサイトをまたいだユーザーの追跡(トラッキング)が可能になる。例えば、異なるWebサイトで特定の広告を表示させ続けることなどが可能になる。
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 このCookieは、WebサイトXの広告が埋め込まれたWebサイトにアクセスするたびにWebサイトXに送られる。つまり、Webサイトをまたいでユーザーをトラッキングできる。これにより、WebサイトAで表示したのと同じ商品の広告を、WebサイトBで表示させることなどが可能になる。

 Webサイトをまたいで同じ商品の広告が表示されるのは個人的に気持ちが悪いと感じている。同じ思いをしているユーザーは多いだろう。

 このためGDPR(EU一般データ保護規則)では、Cookieの取得や個人情報の収集の際には、利用目的を提示してユーザーに許諾を得る必要があると定めている。これを受けて最近では、Cookieの許諾を求めるダイアログボックスを表示するWebサイトが増えている。

 Webブラウザーの多くもトラッキングを防止する機能を備えている(図2-2)。ファーストパーティーCookieを含むすべてのCookieをブロックすると、ログイン状態を維持できないなどの不具合が発生する。このためサードパーティーCookieのみをブロックするのが現実的だ。

図2-2●Cookieによるトラッキングを防止
図2-2●Cookieによるトラッキングを防止
最近のWebブラウザーにはCookieによるトラッキングを防止する仕組みが搭載されている。またiOS 11ではITP(Intelligent Tracking Prevention)、iOS 14.5ではATT(App Tracking Transparency)という仕組みが導入された。
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 またiOSでは、バージョン14.5からATTと呼ばれる仕組みが搭載された。Webサイトをまたいでユーザーをトラッキングするようなアプリの起動時に、ユーザーに許諾を求める仕組みである。