「SASE▼」に対する関心が高まっている。ただ、その概念は広範で分かりにくい。定義としては、「利用企業にとってインターネットの入り口となる『エッジ』で動作し、多様な技術を組み合わせて安全な通信を実現するアーキテクチャーやサービス」となる(図1-1)。米ガートナーが2019年に提唱した。
テレワーク環境が重要課題に
ガートナージャパンの調査では、2022年4月時点で約3割の日本企業が何らかの形でSASEを利用していると回答した。同社リサーチ&アドバイザリ部門バイスプレジデントの池田 武史氏は、「クラウドサービスの普及などで企業ネットワークの環境が変化し、新たな仕組みが求められるようになった」と話す。
企業ネットワークの環境の変化は主に2つある。1つはテレワークの急増だ(図1-2(1))。最初のきっかけは2020年以降の新型コロナウイルス禍だ。従業員の出社が制限され、多くの企業が急きょテレワーク環境の整備に追われた。
急ごしらえのテレワーク環境では問題が噴出した。従業員がVPN▼経由で一斉にアクセスし、拠点側のVPN装置などが混雑する「VPN渋滞」が発生。テレワーク環境を見直す機運が高まった。
さらに最近は、出社勤務と在宅勤務を組み合わせた「ハイブリッド勤務」を取り入れる企業が増えている。オンプレミスやクラウドサービス上の業務システムに、場所を問わず安全に接続できる環境が求められるようになった。