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 まずクラウドサービスとは何かを整理しておこう。クラウドサービスとはもともと、自前のコンピューターで動かしていたようなアプリケーションやサービスを、インターネットなどを経由して利用者の必要に応じて提供するサービスである。2006年に当時米グーグルのCEOだったエリック・シュミット氏が、こうしたサービスを提供することを「クラウドコンピューティング」と呼んだのが始まりだ。インターネットを雲で表現することからクラウドという名称が使われたといわれている。

 歴史的には、インターネット経由でアプリケーションを提供するサービスがクラウドサービスの始まりだ。例えば米セールスフォース・ドットコムは1999年に設立され、2000年に最初の製品を提供開始した。グーグルのメールサービス「Gmail」の登場は2004年。こうしたサービスを当時ASPと呼んでいた。

 アプリケーションだけでなく、サービス構築に必要な機能が提供されるようになったのは米アマゾン・ドット・コムが自社のプラットフォーム技術を「Amazon Web Services(AWS)」として提供し始めた2006年からだ。利用者から「負荷が変動しやすい公開Webサーバーを設置するのに最適なプラットフォーム」と評判になった。

負荷に応じて台数を増減

 それまで公開Webサーバーは、社内のDMZに自前で用意するか、ホスティングサービスを利用してレンタルするしかなかった。このため事前に負荷やトラフィック量などを試算しておき、容量設計をする必要があった。

 しかし高負荷時に合わせると低負荷時にサーバーが無駄になるし、逆に低負荷時に合わせてしまうと高負荷時にサービスがダウンしてしまう。特に季節要因などで負荷の変動が激しい場合は対処が難しい。

 クラウドサービスでは、こうした負荷の変動に合わせ、柔軟に台数を増減できる(図1-1)。サーバーやハードウエア、ネットワークなどのリソースをすべてソフトウエアとして扱っていることが最大の理由だ。

図1-1●負荷状況に応じてリソースを変更できるクラウドサービス
図1-1●負荷状況に応じてリソースを変更できるクラウドサービス
クラウドサービスを使えば、負荷の状況に応じて柔軟にサーバーの台数などリソースを変更できる。いわゆるホスティングサービスの場合、こうした柔軟な運用は難しい。
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パブリックかプライベートか

 次にクラウドサービスの利用形態について説明しよう。クラウドサービスはこうした出自から、インターネットを経由して利用する「パブリッククラウド」が一般的に使われている。

 このパブリッククラウドの中に、企業などの利用者が自分だけのネットワークを作る。このネットワークのうち、インターネットに公開しない部分は実質的にプライベートネットワークとして使えるので、「仮想プライベートクラウド」と呼ばれる(図1-2)。仮想プライベートクラウドと企業ネットワークはVPNや専用線などで接続して閉域ネットワークを形成できる。

図1-2●プライベートクラウドとパブリッククラウド
図1-2●プライベートクラウドとパブリッククラウド
インターネットに用意され、一般的に使えるクラウドサービスがパブリッククラウド、クラウドサービスの技術を自社で用意したハードウエアで利用するのがプライベートクラウドである。複数のクラウドを利用する形態により、マルチクラウドやハイブリッドクラウドという呼び方もある。
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 一方「プライベートクラウド」は、クラウドサービスの技術を利用して自社でサービスを実現することを指す。

 パブリッククラウドおよび仮想プライベートクラウドと、プライベートクラウドを連携させて利用する形態が「ハイブリッドクラウド」となる。

 複数の事業者が提供するパブリッククラウドを連携させて利用する形態は「マルチクラウド」と呼ばれる。