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 ここではクラウドのネットワークについて解説しよう。クラウドのネットワークは2種類ある。クラウドサービスを構成する物理的なネットワークと、利用者から見たクラウドサービスにおける仮想ネットワークだ。まずは前者について見ていこう。

世界中を結ぶネットワーク

 クラウドサービスを提供する事業者は、世界中にデータセンターを配置し、専用線でつないでいる。なかでもAWS、Azure、GCPといった大手サービスを提供する事業者は世界各地に巨大なデータセンターを配置している(図2-1)。しかしこうした物理的なデータセンターは利用者からは見えない。

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図2-1●クラウドサービスの物理的なネットワーク
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図2-1●クラウドサービスの物理的なネットワーク
クラウドサービスは世界中にあるデータセンターを結んで実現されている。利用者から見えるのは、地域の指定となる「リージョン」と、その中にある「ゾーン」または「アベイラビリティーゾーン」と呼ばれる概念的な稼働場所である。各ゾーンには1つ以上のデータセンターが存在する。

 利用者はデータをどこの地域のデータセンターに置くのかを「リージョン」という単位で指定する。リージョンは地域という意味で、日本であれば東京リージョンや大阪リージョンを用意している事業者が多い。通信の遅延やデータの配備場所などを考慮し、近いリージョンを選ぶのが一般的だ。ただしそのリージョンで使いたいサービスが提供されていない場合がある。

 利用者はリージョンの中でさらに「ゾーン」または「アベイラビリティーゾーン」を指定できる。事業者によって呼び方が異なる。各ゾーンには1つ以上のデータセンターが含まれている。ゾーンは事業者がリソースの稼働を担保する単位である。実態とは異なるが、利用者にとってはこれがデータセンターを指していると考えると分かりやすい。

 同一リージョン内のゾーン同士は遅延が低く、帯域の広い回線で接続されている。例えばAWSではアベイラビリティーゾーンは100km以内に配置されていて、「遅延を数ミリ秒に抑えている」(アマゾンウェブサービスジャパン技術統括本部レディネスソリューション本部本部長の瀧澤 与一氏)という。

冗長化を2段階で

 クラウドのデータセンターがこのような構成になっているのは、利用者が可用性を十分に確保できるように、2段階で冗長化しているためだ(図2-2)。

図2-2●ゾーンとリージョンの2段階で冗長化
図2-2●ゾーンとリージョンの2段階で冗長化
システムを安定稼働させるために、異なるゾーン間で冗長化する。例えば停電や火災などでデータセンターが使えなくなっても、別ゾーンの機器は異なるデータセンターにあるため影響を受けない。さらにリージョン間で冗長化することで、ディザスターリカバリーに対応できる。
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 具体的にはまず2つ以上のゾーンを利用して冗長化する。例えばサーバーラックの故障などによるネットワークトラブルが発生した場合や、火災などによってデータセンターが被災した場合はゾーンを切り替えて対応する。

 さらにリージョンをまたいで冗長化する。これによりディザスターリカバリーに対応する。例えば大規模な地震が発生してリージョン全体が使えなくなるような場合でも事業を継続できる。

 また世界中に拠点がある企業の場合は、ディザスターリカバリー以外に地域ごとの利便性やデータの保護といった観点からリージョンを選択することも考えなければならない。