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 LPWAが狙う産業用IoTの市場には様々な用途がある。このためLPWAの規格も多様だ。その中から代表的な規格の技術的な仕様と最新動向を説明する(表2-1)。

表2-1●主なLPWAの規格
IoTの市場拡大を見込んで様々な規格が乱立している。このほかにソナスが開発した「UNISONet(ユニゾネット)」やOKIが開発した「SmartHop(スマートホップ)」などもある。
表2-1●主なLPWAの規格
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Wi-Fi HaLowはようやく離陸か

 LPWA規格の中で新規参入と言えるのがWi-Fi HaLowだ。規格自体は2016年に「IEEE 802.11ah(以下、802.11ah)」として策定されていたが、対応製品がなかなか出てこなかった。

 だが、2021年11月にWi-Fiアライアンスが認証プログラムを始めたことで、もうじき一般向けに対応製品が販売される。日本では2022年前半にも利用可能になる見通しだ。認証プログラムは始まったばかりだが、既に様々な試作機が作られている(図2-1)。

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図2-1●IEEE 802.11ah対応機器の例
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図2-1●IEEE 802.11ah対応機器の例
タブレット端末は屋外での電波伝搬の評価用に開発された(a)。無線LAN機器を手掛けるフルノシステムズは、ゲートウエイなどIEEE 802.11ah対応機器の開発を進めている(b)。

 Wi-Fi HaLowは、高速化を目指す従来のIEEE 802.11シリーズとは異なる方向性で規格化された(図2-2)。ただ一方で802.11シリーズの色も残している。サービスの提供形態が、利用者が自前でゲートウエイ(基地局)を用意するプライベート型である点や、MAC層より上の層では802.11acをそのまま使う点だ。つまりWi-Fi HaLowはLPWAとしては珍しく、IPで通信できる。

図2-2●Wi-Fi Halowの位置付け
図2-2●Wi-Fi Halowの位置付け
IEEE 802.11-2016の改訂版として2017年に公開された。IEEE 802.11シリーズではサブGHz帯(日本では920MHz帯)を使用する初めての規格だ。(出所:802.11ah推進協議会の資料に基づき作成)
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 Wi-Fi HaLowの特徴の1つが、LPWAとしては通信速度が高速な点だ。日本では920MHz帯の単位チャネル(帯域幅は200kHz)を5個束ねた1MHzチャネルを使う場合、最大4.44Mビット/秒となる。この性能により用途が広がるという。日本で実用化を推進する802.11ah推進協議会の運営委員を務める北條 博史氏は「監視カメラの静止画像を送信する用途などが見込める」と説明する。

 ネットワークの接続形態は、スター型とツリー型に対応する。通信距離は1km程度だが、端末と基地局の間に中継器を置くことでツリー型にしてカバーするエリアを拡大できる。ただし、端末間のリレー通信には対応していない。

 無線LANの資産を多く流用できることも特徴だ。802.11ahは、802.11acの物理層の動作クロック周波数を10分の1にダウンクロックした規格なので、無線モジュールの半導体製品をゼロから設計する必要がなく安価に作れるという。また、MAC層よりも上の層も基本的に802.11acと同じである(図2-3)。このため既存のTCP/IPプロトコルスタックなどが使えるほか、Wi-Fiにおけるセキュリティーの最新方式であるWPA3にも対応している。

図2-3●IEEE 802.11ahのMAC層の構造
図2-3●IEEE 802.11ahのMAC層の構造
MAC層において端末の送信タイミングを制限する「RAW」と呼ぶ機能や、端末の起動・動作の時間帯を指定する「TWT」と呼ぶ機能を規定している。これらの機能により端末のスリープ時間を増やして省電力化を図る。MAC層より上の層は基本的にIEEE 802.11acと同じである。
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