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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 倉庫内の商品の搬送やピッキング作業に向けたロボット企業に対して、米国で数億米ドル(数百億円)規模の資金が集まっている。2021年夏、同ロボットを手掛ける米スタートアップ企業の買収や上場が相次いだ。背景には、コロナ禍を機に電子商取引(EC)の需要が増大したことがある。

 例えば、米国の技術系メディアを中心に大きく報じられたのが、米Zebra Technologies社による米Fetch Robotics社の買収である。2021年7月に発表し、同年8月に買収を完了した。買収額は2億9000万米ドル(1米ドル=110円換算で319億円)である。Zebra社はもともとFetch社に出資していた。

 Fetch社は2014年に創業し、シリコンバレーの一画であるカリフォルニア州サンノゼに本社を構える。自律搬送ロボット(autonomous mobile robots:AMR)を手掛けており、幅広い製品ラインアップを有する。

 例えば、可搬質量が100~1500kgまでで数種類のAMRを揃えている(図1)。商品を詰めた段ボールや荷物ボックスだけでなく、棚ごと運搬できる機種がある。倉庫内のAMRやワークフローなどを管理するクラウド型のソフトウエアも提供する。足元の業績は好調としており、年間予測値(ランレート)で約1000万米ドル(同11億円)の売上高で、粗利も高いとする。

図1 さまざまなAMRを用意
図1 さまざまなAMRを用意
Fetch Robotics社は、さまざまな自律搬送ロボット(autonomous mobile robots:AMR)を手掛けている。例えば、可搬質量が100kg~1500kgまでで数種類のAMRを揃えている。(画像:Fetch Robotics社)
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