全2422文字
PR
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 米国外で実績を積んだ米国のドローン企業が、米国でのサービス展開を本格化している。その代表が、シリコンバレーの米Wing社と米Zipline International社だ。Wing社は米グーグルの親会社である米Alphabet社の子会社。オーストラリアの首都キャンベラやローガン、フィンランドの首都ヘルシンキ、米国バージニア州において、比較的小規模な飲食店や小売店などで扱う食料や日用品などをオンデマンドで配送してきた。累計配送回数は10万回を超えるなど、高い実績を持つ。

 これまでオーストラリアが中心だったが、米国でも新たな取り組みを開始するなど力を入れ始めた。2021年10月、人口密集地での展開を目的とした新しい配送施設を開発し、米国テキサス州で運用を始めると明らかにした(図1。各店舗が持つ駐車場や建物の屋上などの既存インフラに離着陸場を設けて、機体を配備してすばやくドローン配送施設を構築できる点を特徴にする。機体や離着陸場の部材、充電パッド、気象センサー、無線通信機など、同施設構築に必要な機材をコンテナに格納。このコンテナを運ぶことで、店舗そばに小規模なドローン配送施設を2~3時間以内に構築できるという。

(a)コンテナを利用した配送施設
 
[画像のクリックで拡大表示]
(b)ショッピングセンターの屋上に構築した例(オーストラリア)
[画像のクリックで拡大表示]
(c)機体
[画像のクリックで拡大表示]
図1 人口密集地向けに新たな配送施設
Wing社は、人口密集地での展開を目的とした新しい配送施設を開発した。機体や離着陸場の部材、充電パッドなど、同施設構築に必要な機材をコンテナに格納して運べる(a)。駐車場や建物の屋上などの既存インフラに設置できる(b)。なお、同社の機体は、ホバリングしながらテザー(ワイヤ)を地上に向けて垂らし、その先端部の紙製のボックスに品物を入れてやり取りする(c)。(写真:すべてWing社)