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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 2021年11月、コンビニエンスストア大手のファミリーマートの店舗で、飲料を自動陳列するロボットが動き始めた。日本のロボットベンチャーのTelexistenceが開発した水平多関節型ロボット「TX SCARA」だ。

 一見すると、ファミリーマートという大手企業がロボットを“導入"したかのように見えるが、実情はそれほど単純ではない。そもそも、ファミリーマートは「ロボットの導入費用は支払っていない」(同社)のである。

 ファミリーマートの店舗でロボットが正式に稼働し始めたというのに、ファミリーマートがその費用を支払っていないとは、一体どういうことか。同社によれば、実証実験という訳でもないのだという。

図1 ファミリーマート店舗でロボが飲料を自動陳列
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図1 ファミリーマート店舗でロボが飲料を自動陳列
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図1 ファミリーマート店舗でロボが飲料を自動陳列
神奈川県相模原市に新規開店した「ファミリーマートALFALINK相模原店」で、飲料を自動陳列するロボットが稼働し始めた。ロボットがバックヤード側でペットボトル入りや缶入りの商品を陳列することで、店員の負担を軽減した。(写真右:ファミリーマート)

 勘の良い読者の方はこう思われるだろう。コンビニ業界というのは本部の直営店は少なく、大半はフランチャイズ加盟店。フランチャイズ店では土地や建物、店内の設備についてフランチャイズ加盟した店舗オーナーが費用を支出し、所有することがある。だから、「店内設備」の一種といえる今回のロボットも、本部であるファミリーマート側は購入していないのだろう、と。

 しかし、実態はもう少し複雑だ。