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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 肉眼では見えないほどの暗所での撮影や、LIDARといったセンサの利用に向くSPAD(single photon avalanche diode)センサが著しい性能向上を果たしている。2021年12月に米国サンフランシスコで開催された半導体分野の国際会議「International Electron Devices Meeting(IEDM 2021)」では業界最高の画素や効率を達成したSPADの発表が相次いだ。

 320万画素と業界最多画素数の裏面照射型SPADセンサを試作したのがキヤノンである(図1)。同社は監視カメラ事業に力を入れていることもあり、まず同カメラに適用する。監視カメラ用途を考えた場合、フルHD(1920×1080画素)に達することが実用に向けた一里塚になる。今回それを超えた。22年にSPADセンサの量産を開始し、同センサを搭載した監視カメラを23年に発売する予定だ。外販も行う予定で、「デバイス事業の柱の1つに育てていきたい」(同社)と意気込む。監視カメラの他、車載や医療用画像診断機器、科学計測機器といった用途を想定する。

図1 320万画素のSPADセンサを試作
図1 320万画素のSPADセンサを試作
キヤノンは320万画素のSPADセンサを試作した(a)。0.002lux(ルクス)の明るさでも鮮明な画像を獲得できる(b)。より暗い0.0003luxという環境下でも、被写体を識別できる水準の画像を得られた(c)。カラーフィルターを付けて撮影すれば、一般的な写真も撮れる(d)。(出所:キヤノン)
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