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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 米Amazon.com社は2022年6月、プライベートイベント「Amazon re:MARS 2022」を米国ラスベガスで開催した。2019年から3年ぶりのリアル開催となった今回は、ロボティクスやAIを活用した物流・リテール向け技術が目玉の1つだった。大別すると、物流向け自動化技術と店舗向け技術の2つである。

 物流向け自動化技術では、荷物のラベルを高速にスキャンできる技術や同社初となる自律走行可能な搬送ロボット(AMR)「Proteus」を発表した(図1)。高速スキャン技術は、コンピュータビジョン(CV)技術と機械学習を組み合わせたもので、「Amazon Robotics Identification(AR ID)」と呼ぶ。120フレーム/秒で動作するカメラで荷物のバーコードを高速で読み取る。基調講演のデモでは、荷物を持った従業員がゲートを通るだけでスキャンする様子を見せた。加えて、荷物だけをゲート付近にかざすだけでもスキャンできることを示した。現在物流施設では、従業員がビン(荷物箱)から荷物を取り出し、ハンドスキャナーを使ってバーコードを見つけ、手でスキャンしている。AR IDの導入により、スキャン作業を大幅に高速化できる。