海外と比べて大幅に立ち遅れていた日本での配送ロボットの実用化が、ようやく前に進み始めた。
2023年4月までに改正道路交通法が施行され、大幅に規制が緩和。数km以内の近距離を担う配送ロボットが法律の上で明確に定義され、現場でロボットに随行する監視員なども不要になり、海外と同レベルのサービスを展開する環境が整う。実サービスのスケール化に向けては、まだ課題は山積しているものの、少なくとも規制面での障壁はほぼ撤廃され、企業同士がしのぎを削る局面が日本でもいよいよ到来する。
規制緩和後の世界を見据え、楽天グループやパナソニック ホールディングスなどの大手企業も動き始めた。配送ロボットの実用化に向け、日本という場もついにスタートラインに立った形だ(図1、図2)。楽天グループの牛嶋裕之氏(コマースカンパニー ロジスティクス事業 ドローン・UGV事業部 UGV事業課 シニアマネージャー)は「これまでのように道交法が壁になって事業が進められないという言い訳は立たなくなった。あとは我々事業者の頑張り次第だ」と語る。
海外では既に数年以上前から、配送ロボットが実サービスのフェーズに入っている(表1)。広範に普及しているというほどではなく、一部都市や大学・企業のキャンパス内などにとどまってはいるものの、規制面では実サービスを展開できるレベルにまで緩和がなされ、ロボットによる配送サービスが期間限定のお試しなどではなく、恒常的に使える地域が出てきている。
例えば、配送ロボットの先駆者と言える米Starship Technologies社は、2018年の時点でまずは英国で本サービスを開始。これまで1億200万米ドルもの資金を調達しており、現在では米国および欧州の複数の国で事業を拡大している。ロボットの機体開発だけでなく、料理などを注文できるスマホアプリや配送サービスそのものも自ら手掛け、消費者に対して直接サービスを提供することで、改善のサイクルを高速に回している。