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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 新型コロナウイルスの感染拡大によって、自動運転車に「逆風」と「追い風」が吹いている。

 逆風にさらされているのは、複数人を乗せて運ぶ「ライドシェア」を前提にした自動運転車だ。米Uber Technologies社が手掛けるような配車サービスの利用は米国で既に激減しており、仮に新型コロナの感染拡大が収まったとしても、「以前のような旺盛な需要は戻らないだろう」(シリコンバレー在住のある投資家)。その上、自動運転車による試験サービスや公道試験は休止中だ。

 例えば米Waymo社は2020年4月22日時点で、米アリゾナ州で実施していた自動運転車を使ったタクシーサービス「Waymo One」や、カリフォルニア州で実施していた公道試験を一時中止している。競合の米General Motors(GM)社の子会社Cruise社も同様で、サンフランシスコでの公道試験を一時的に停止している。

 一方で、追い風を受けているのは、食料品や医薬品などを配送する自動運転車である。理由は大きく2つある。1つは、人と接することがないので、新型コロナに感染するリスクを低減できること。