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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 キリンビールやキリンビバレッジなどを傘下に持つキリンホールディングスは、ギフト商品の梱包の自動化に乗り出した。中元や歳暮向けなどのギフト商品は詰め合わせのバリエーションが多い上、季節商品で生産期間が限られる。このため、その箱詰め作業などはなかなか自動化しにくく、これまでは主に人手に頼ってきた。今回、これをロボットで効率化し、人手不足解消につなげる。

 梱包工程の中でも、まずは箱の組み立て作業の自動化に取り組み、そのためのロボットシステムを開発した(図1)。同社の研究部門で、商品容器や包装などを担当する「パッケージイノベーション研究所」が開発した。3台のロボットアームから成り、1時間に約600個の箱を組み立てられる。

図1 キリンHDが箱の組み立てをロボットで自動化
図1 キリンHDが箱の組み立てをロボットで自動化
キリンビールやキリンビバレッジなどを傘下に持つキリンホールディングスが、ギフト商品の箱を組み立てるロボットシステムを開発した(右)。左は同社の株主優待品で、ロボットが箱を組み立てた。
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 一般消費者向けのギフト商品に適用するのに先立ち、まずは同社の株主向けの「株主優待品」に2021年4月、ロボットを適用した。株主優待品はギフト商品と同じタイプの箱を使っている上、生産数もそれほど多くなく、検証の場として向いていた注1)。ギフト商品などの箱詰めを行う同社グループの拠点「東京東部物流センター」にロボットを設置し、約3万箱を組み立てた。今後は、人手が足りない物流センターでの活用を見込む。