全1944文字
PR
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 ソニー系のドローンベンチャーのエアロセンスは、50kmもの長距離を飛行できる垂直離着陸型(VTOL:vertical take-off and landing)の固定翼ドローン「AS-VT01」を発売する(図1)。

 水平飛行時は飛行機のように固定翼の揚力で飛ぶが、離着陸時はマルチコプター型のドローンのようにホバリングしながら垂直離着陸する。本体価格は税込みで550万円。2020年10月末から販売を開始し、初年度100機の出荷を目指す。

図1 エアロセンスが5年越しでVTOL機を市場投入
図1 エアロセンスが5年越しでVTOL機を市場投入
ドローンサービスを手掛けるエアロセンスが、長距離飛行が可能な垂直離着陸型(VTOL)の固定翼ドローン(写真左)を2020年10月から販売開始する。本体価格は税込み550万円。同社はこれまで小型のマルチコプタ―型ドローンを開発し測量などのサービスを行ってきたが、今回発売する機体「AS-VT01」はより広範な測量や山間部の保守点検などに向ける。2015年8月のプロトタイプ機の発表時(写真右)から大幅なモデルチェンジを図った。
[画像のクリックで拡大表示]

 同社はこれまで、建設現場における測量や設備点検などに向け、マルチコプター型ドローンを自社開発してきたが1-3)、今回、より長距離をカバーできるVTOL機をラインアップに加えた。現在、人工衛星や小型有人固定翼機、ヘリコプターなどで行っている広域のリモートセンシングの用途を狙う。

 広大な土地の測量や、長距離の送電線点検などを行う場合、マルチコプター型のドローンでは1回の飛行時間が短いため撮影に時間を要していた。例えば、全長2kmで広さ100haにも及ぶ鬼怒川の河川敷を測量する場合、従来は30回も飛行させなければならず撮影に3日かかっていた。VTOL機であれば20分間、1回飛行させるだけで完了する。このため、高頻度での点検などもしやすくなる。