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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 川崎重工業は、新型コロナウイルスの感染の有無を調べる「PCR検査」の自動化システムを開発した(図1)。複数のロボットを組み合わせ、容器から検体を取り出し、検査装置に投入するなど一連の工程を自動化した。

 同社は大学病院などと組み、検査実施から陰性証明書の発行までをパッケージ化し、航空会社や空港の運営会社などに売り込む。入国にあたって陰性証明書が必要となる国に渡航しようとする人々の需要を見込み、3~5万円ほどが相場の検査料を1万円ほどに抑える。同社は航空機関連事業も社内で手掛けており、検査サービスを自ら提供することで、航空機の利用を促し、同事業の業績の回復も狙う。

図1 川崎重工業が新型コロナ向けPCR検査システムを開発
図1 川崎重工業が新型コロナ向けPCR検査システムを開発
新型コロナウイルス向けの「PCR検査」をロボットで自動化した。検査システムは、同社の双腕型協働ロボット「duAro」や複数台の単腕ロボットなどから成る。全長約12m、幅約2.5mのコンテナに収め、トレーラーで移動できるようにした。従来人手で実施していた検査工程を自動化することで、処理能力を高めた。1日16時間稼働させることで、2000検体の検査が可能となる。(写真右:川崎重工業)
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搭乗前の検査を迅速に実施

 システムは、空港などニーズが見込める場所にすぐに設置できるよう、トレーラで運べる大きさにした。全長12m、幅2.5mほどのトレーラ向けコンテナに収めた。従来、空港などではPCR検査を近隣の検査機関に依頼していたため、採取した検体を輸送するのに時間がかかっていた注1)