全2968文字
PR
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 「新型コロナの影響で出社停止になったが、ロボットのおかげでその間も実験を続けることができた」─。

 アステラス製薬がiPS細胞を使った創薬研究に活用している双腕の実験支援ロボットシステム「LabDroid」が、新型コロナ禍での予想外の事態に貢献している。今後は、ロボットをネットワークに接続する遠隔操作も検討していくという。

 ロボットベンチャーのロボティック・バイオロジー・インスティテュート(RBI)が手掛けるLabDroidは、人に代わって、細胞培養などのバイオ実験の作業を行う。安川電機と産業技術総合研究所 創薬分子プロファイリング研究センターが長年共同開発してきたシステムを事業化したものだ1)

 安川電機製の15軸の双腕ロボットを利用しており、同社はRBIに出資もしている。アステラス製薬は2017年末に、試行段階だったiPS細胞を使った創薬研究の確立に向けて、LabDroidを導入した(図1)。

図1 アステラス製薬で細胞培養のために稼働中のLabDroid
図1 アステラス製薬で細胞培養のために稼働中のLabDroid
写真は培地交換のため、細胞培養プレートからアスピレータで培地を吸引している様子。ほかに、8連ピペットを使い、1つのプレートに96個のウエルが並んだ「96ウエルプレート」に試薬を分注したり、器具の蓋を外したり、遠心分離機にかけたりするといった作業を行う。(写真:アステラス製薬)
[画像のクリックで拡大表示]