東京・白金台で結婚式場を運営する八芳園は、式場内のレストランで配膳ロボットを活用し始めた(図1)。ロボットが客席まで料理を運んだり、利用済みの皿を厨房まで運ぶことで、スタッフの負担を軽減した。
同社がロボットの導入を決めた背景には、コロナ禍で婚礼事業や法人向けの宴会事業が立ちゆかなくなったことがある。披露宴や宴会は大人数が集って会食をするスタイルのため「3密」を回避しにくく、コロナ禍になって規模の縮小や中止などが相次いだ。運営の根本から見直しを迫られる中、従業員と客の接触を減らしながら料理を提供する方法を模索し、配膳ロボットの活用に目を付けた注1)。
同社は今回の式場内レストランでの導入を皮切りに、今後は披露宴などでの利用も目指している。ただ、披露宴などは会場の広さや客席数に応じてレイアウトが変わるため、地図を毎回作り直す必要があるなど課題がある。披露宴での活用は時期尚早だと判断し、まずは常設のレストランに導入した形だ。レストランであれば席のレイアウトをある程度固定化できるため、ロボットを稼働させやすいと判断した。2台のロボットを使うことで複数台の運用ノウハウを蓄積し、より広い披露宴会場ではさらに多くのロボットを活用したい考えだ。
客が退席後の下げ膳で活用
八芳園が導入したのは、飲食店などで活用が進むソフトバンクロボティクスの配膳ロボット「Servi」である1-3)。ロボットは店内をSLAMで自律移動しながら、料理などを本体のトレーに載せて運び、搬送作業を効率化する。