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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 食品スーパーに並ぶ色とりどりの総菜。日本全体の人口が減少している中でも、高齢化や核家族化などの影響により、実はこの総菜の市場は成長を続けており、コロナ禍前までは10年連続でプラス成長を遂げている注1)

注1)コロナ禍を受けて2020年は対前年比でマイナス成長となったが、2021年はコロナ禍前の2019年の98%の水準まで回復した。

 食品産業の中でも注目の存在である総菜(中食)だが、実はその生産には多くの人手が掛かっている。市場が拡大しているとはいえ、生産面での自動化が遅れており、昨今の人手不足を踏まえると、現場では深刻な課題となりつつある。

 この課題にスーパー大手が切り込んだ。イオン子会社で東海地区を中心にスーパーマーケットを運営するマックスバリュ東海だ。静岡県にある自社工場「デリカ長泉工場」に、総菜の盛り付け作業を自動で行うロボットシステムを4台導入し、生産を効率化した(図1、図2)。売れ筋のポテトサラダをロボットが黙々と容器に盛り付ける。食品業界において、盛り付け作業をロボットで自動化する試みはまだ珍しく、先進的な事例といえる。

図1 ロボットがポテトサラダを容器に盛り付け
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図1 ロボットがポテトサラダを容器に盛り付け
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図1 ロボットがポテトサラダを容器に盛り付け
東海地区を中心にスーパーマーケットを運営するマックスバリュ東海は、ロボットで総菜の盛り付けを自動化した。静岡県の食品工場「デリカ長泉工場」に4台のロボットを導入し、ポテトサラダの盛り付けを行っている。(写真右:マックスバリュ東海)