トヨタ自動車子会社で部品メーカーのトヨタ自動車北海道が、同社として初めて協働ロボットを導入した。同社は北海道苫小牧市の本社地域に工場を構え、変速機などの駆動系部品を手掛けている。トヨタ自動車の工場では既に協働ロボットを活用しているが、この動きが部品メーカーにも広がってきた形だ。
今回、トヨタ自動車北海道が協働ロボットを導入したのは、カローラなどに搭載する同社の主力製品、無段変速機(CVT)の製造ラインである(図1)。このCVTに使われる差動歯車(デファレンシャルギア)の加工工程でロボット2台を利用している(図2)。従来、この工程で使っていた専用装置を協働ロボットに置き換えることで、この工程での稼働率を向上させた。
親会社のトヨタ自動車は、原価改善に積極的なことで知られているが、この取り組みは子会社であるトヨタ自動車北海道にも浸透している。同社でも日々、原価改善活動に取り組んでおり、今回のロボット導入はその一環である。ロボットの選定からシステム構築まであらゆる面でコストを削減し、原価を低減した。
小型の協働ロボが向くワケ
自動車工場というと、産業用ロボットをフル活用して、車体の溶接や塗装などを行っている光景を思い浮かべるかもしれない。トヨタ自動車北海道の工場でも、以前から産業用ロボットを数多く活用してきており、アルミ製のケースといった重量のあるワークを搬送する工程などで利用している。
しかし、同社の工場ではこうした重量物だけでなく細かな部品も扱っているため、加工機への投入など人が作業する工程も多い。例えば、同社が製造する変速機は、歯車やプーリーといった数多くの部品で構成されている。これらの部品の加工や部品同士の組み付けは、人が専用装置などを使って行っている。こうした人と同じ空間でロボットを動作させようとする場合には、安全柵を設けずに設置できる協働ロボットが向いていたといえる。