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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 浜離宮恩賜庭園や隅田川を一望できるホテルで、客室のリネン類を運ぶロボットが本格的に稼働し始めた。エレベータでフロア間を往復しながら、シーツやタオルなど大量のリネンを搬送している。バックヤード側のエレベータを利用しているため、宿泊客の目に触れることはないが、ロボットが日々の搬送業務を粛々とこなしている(図1)。

 導入したのは、東京・竹芝に2020年に開業した高級ホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」である。JR東日本子会社の日本ホテルが米Marriott International社と提携して運営しており、外国人観光客などの利用を見込んでいる注1)。ロボットは開業時から導入していたものの、開業当初はコロナ禍で宿泊客が少なく、ほとんど稼働させていなかった。ここに来て外国人による訪日が復活し、宿泊客が増えてきたため、ようやくフル稼働。現在は搬送業務でほぼ毎日活用している。

図1 ホテルでロボットがリネン類を運ぶ
図1 ホテルでロボットがリネン類を運ぶ
JR東日本の子会社の日本ホテルが、東京・竹芝のホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」に搬送ロボットを導入した。客室で使うシーツやタオルなどのリネン類を運んでいる。(写真右:メズム東京)
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 ホテルでは一般に、バスタオルやシーツなどリネン類の回収・交換を1日に数時間かけて行っている。宿泊客がチェックアウトした後、一度、同じフロアにある「リネン室」に集め、その後、フロアごとに台車に載せ、地下の「保管庫」に送る(図2)。今回、この後者のフロア間の搬送をロボットで完全に自動化。人間のスタッフが運ばなくて済むようになり、人件費などを削減できた。