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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 Daniel Theobald氏は、ボストン拠点の倉庫用ロボット会社として知られる米Vecna Robotics社の共同創業者で、先頃までCEOを務めた(図1)。同氏がシリコンバレーにある農場Twisted Fieldsで進めている農業ロボット「Acorn」の開発について聞いた(図2図4)

そもそもこの農場に関わり、農業ロボットを開発するようになったきっかけは何か。

Theobald氏 シリコンバレーがそう呼ばれる前にこの地域で育った。幼少の頃からテクノロジーやコンピュータ、ロボットと同時に農業にも関心があり、養鶏や養蜂、水耕栽培をしたりし、ずっと趣味にしてきた。2016年にこの農場を手に入れた後は、農業を根本から理解して本当に役に立つ技術的解決策を見つけることが目的になった。技術者は、とかくアイデアはあっても現場を理解していないことが多い。農業ロボットも、農作業をしたことがない技術者が開発したりしている。実際に作業して問題を実感し、そこから機会を得たいと考えている。その意味でも、ここでは果樹園、畑栽培、動物飼育などを幅広く行い、どんなことに時間がかかるのか、どこに注力すべきかを検討する。その時に、最もシンプルでコスト効果もあり、スケーラブルで、メンテナンスも簡単で環境にも負荷をかけない方法を考えたい。

図1 Daniel Theobald(ダニエル・セオバルド)氏
図1 Daniel Theobald(ダニエル・セオバルド)氏
カリフォルニア州の実験的農場Twisted Fieldの創業者。倉庫ロボット会社として知られる米Vecna Robotics社を2018年に共同創業、CEOを経て、現在はチーフ・イノベーション・オフィサーを務める。それ以前に、軍事ロボットを中心に開発する米Vecna社、ヘルスケア関連のソフトウエア開発会社の米VecnaCares社を共同創業した。ボストン地域のロボット・スタートアップを振興する米MassRoboticsの共同創業者でもある。MITで機械工学の修士号を取得。
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