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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 100年の歴史を持つ法律事務所、米Covington & Burlingは世界13カ所に事務所を持ち、特に政策や規制に関する強みを謳う。近年、AIやロボットにおける規制化の動きを追ってきたJungyun Choi氏に聞いた(図1)。

AIを正しく開発するための規制化が進んでいるが、AI法の確立が100とすれば世界各国は今どのくらいの位置にあるのか。

Choi氏 まだ1~2%といったところだろう。AI法による規制が必要であるとか、規制しなければならない主要な要素は何かというマクロ面では世界での合意は50%くらいに達したところだ。

 要素は、例えば透明性、アカウンタビリティー(責任の所在)、セキュリティー、監視などだ。しかし、どう規制するかについては国によってアプローチに違いがある。産業セクターごとに規制するのか、業界の自主規制や業界標準に準拠するのか、リスクの適切なアセスメント方法は何か、リスクを持つシステムであっても十分なディスクロージャーを行えば許可するのか、AIが間違いを起こした際にどう対処するのかなど、より詳細でプロセスに関わる課題は未解決の状態だ。

図1 Jungyun Choi(ジョンユン・チェ)氏
図1 Jungyun Choi(ジョンユン・チェ)氏
Covington & Burling LLPのブリュッセル事務所のアソシエートで、テクノロジー規制グループに所属する。ヨーロッパのデータ保護法をはじめとして、AIを含む先進テクノロジーにおける政策や法制化が専門。英University of Oxfordを卒業後、英BPP Law SchoolにてG.D.L.(法学準修士コース)、L.P.C.(事務弁護士養成コース)を修了。イングランドおよびウェールズ高等裁判所事務弁護士登録。
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