トヨタ自動車やファナックが出資する気鋭のAIベンチャー Preferred Networks(PFN)。日経Roboticsでは2015年の創刊以来、その共同創業者の岡野原大輔氏に毎号、AIの先端動向に関する解説記事を寄稿いただいています。
世界レベルのAIベンチャーの創業エンジニアが何を考え、何に注目しているのか。この連載記事からぜひお確かめ下さい。
Preferred Networks 代表取締役 最高執行責任者

Preferred Networks岡野原氏によるAI解説◆(日経Robotics連載)
トヨタ自動車やファナックが出資する気鋭のAIベンチャー Preferred Networks(PFN)。日経Roboticsでは2015年の創刊以来、その共同創業者の岡野原大輔氏に毎号、AIの先端動向に関する解説記事を寄稿いただいています。
世界レベルのAIベンチャーの創業エンジニアが何を考え、何に注目しているのか。この連載記事からぜひお確かめ下さい。
PFN岡野原氏によるAI解説:第93回
2023年2月1日、Preferred Robotics(以下 PFRobotics)よりスマートファニチャープラットフォーム「カチャカ(Kachaka)」が発表され先行予約が開始された。カチャカは専用の家具とドッキングし、好きなところに家具を運んでくれるロボットである。
PFN岡野原氏によるAI解説:第92回
拡散モデルはDALL·E 2やStable DiffusionやMidjourneyなどテキストから画像を生成する際に使われるモデルとして有名となった。拡散モデルはデータに徐々にノイズを加えていき、完全なノイズになる過程を逆向きにたどる逆拡散過程によって、ノイズ分布からデータ分布への生成過程を定義…
PFN岡野原氏によるAI解説:第91回
機械学習のべき乗則の発見はAIの発展を大きく変えつつある。より多くの訓練データ、大きなモデル、より多くの計算リソースを投入することで、(新手法を生み出す必要がなく)予測可能な形でモデルの汎化性能を改善していくことができる。
PFN岡野原氏によるAI解説:第90回
人や動物はナビゲーションタスクを実現するために認知地図(Cognitive Map)と呼ばれる環境の地図情報、空間表現を持っていると考えられている。人は初めて入った建物でも、そこをいろいろ歩き回ることで、どの部屋とどの部屋がつながっているのか、それらが空間的にどのような広がりを持つのかを把握し、目…
PFN岡野原氏によるAI解説:第89回
世の中の現象は規則性、制約に基づいて変化している。例えば、質量保存則やエネルギー保存則は、物体やエネルギーが突然消えたり、生成されたりしないことを示している。そのような規則性の特徴の一つに、「多くの現象は一定の速度や加速度で変化する」というものがある。
PFN岡野原氏によるAI解説:第88回
誤差逆伝播法(BP)は現在の深層学習の学習則のデファクトスタンダードである。BPは任意の微分可能な計算要素をつなげて計算した後、誤差(目的関数の各途中状態についての勾配)を出力から入力に向けて逆向きに伝播させることからこの名前がついている。
PFN岡野原氏によるAI解説:第87回
現在の機械学習は、学習データとテストデータが同じデータ分布からサンプリングされているという、いわゆるi.i.dを仮定する場合が多いが、世の中の多くの問題はこの仮説が成り立たない。
PFN岡野原氏によるAI解説:第86回
データ圧縮は既に多くの用途で使われているが、今後、デジタルツインやメタバース、ライフサイエンス等において膨大な量のデータが発生すると考えられる中、さらなる発展が必要とされている。例えば3Dのビデオ会議システムを実現する米グーグルのProject Starlineは今のビデオ会議システムの数十倍(3…
PFN岡野原氏によるAI解説:第85回
ロボティクスへの強化学習の利用等の研究で有名な米University of California Berkeley教授のPieter Abbeel氏は“The Robot Brains Podcast”と呼ばれるPodcastを開設し、これまでAIの研究やAIを使った事業で著名な人物達をゲストに招…
PFN岡野原氏によるAI解説:第84回
近年、GPT-3のように、これまでとは桁違いに大きなニューラルネットワークを大きなデータセットを使って長い時間かけて学習して作ったモデルが次々と登場している。このようなモデルは一度作れば非常に多くの様々なタスクに利用することができる。このようなモデルはFoundation Modelとよばれており…
PFN岡野原氏によるAI解説:第83回
深層生成モデルの1つである拡散モデル(Diffusion Model)の利用が急速に広がっている。2015年に米Stanford UniversityのSohl-Dickstein氏らによって最初のモデルが提案されてからしばらく注目されていなかったが、2020年に米University of Ca…
PFN岡野原氏によるAI解説:第82回
Technical University of Munich教授のStephan Günnemann氏のグループが提案したFinite Element Network(FEN)は有限要素法の考えをグラフニューラルネットワーク(NN)に導入して、少数の観測データから、未知のダイナミクス(上記の)を推…
PFN岡野原氏によるAI解説:第81回
核融合反応を使った核融合炉による発電は、資源が豊富にあること、二酸化炭素を排出しないこと、そして安全性が高い(発生条件が厳しく、トラブルが起きれば核融合反応は消えること、また高レベル放射性廃棄物が出ない)ことから、クリーンなエネルギー源として注目されており、世界中の国家プロジェクトや企業で研究が進…
PFN岡野原氏によるAI解説:第80回
現在のディープラーニングで使われるモデルは過剰パラメータ(Over Parameterized)表現、つまり訓練データ数よりもずっと多くのパラメータ数を持つモデルが使われている。例えば100万枚からなるImageNetを学習データに使い、数億のパラメータからなるモデルを使うことは一般的である。過剰…
PFN岡野原氏によるAI解説:第79回
ロボットにタスクを指示する際、人がロボットを動かして、実際にそのタスクをデモンストレーションし、それを繰り返すというアプローチは直感的かつ強力である。しかし、このアプローチは汎化という面で強い制限がある。
PFN岡野原氏によるAI解説:第78回
深層学習(ディープラーニング)の大きな特徴は、データを問題が解きやすいような表現に変換する方法を学習によって獲得する、いわゆる表現学習ができる点である。データを適切に表現できさえすれば、その後、分類や回帰などの問題は簡単に解けるのに対し、うまく表現されていない場合はその後どれだけ頑張ってもうまく問…
PFN岡野原氏によるAI解説:第77回
SLAMは移動体がオンラインでセンシングを行いながら自己位置推定および環境地図の作成を行うタスクであり、ロボットやドローン、自動車の自動運転などで重要なタスクである。センサとしてLIDARや車輪のエンコーダ(オドメトリ)を使う場合が多いが、カメラを利用したVisual SLAMも増えつつある。
PFN岡野原氏によるAI解説:第76回
生物は視覚、聴覚、触覚など様々なモダリティを持つ高次元データを同時に感知することができる。一方でニューラルネットワークでこうしたデータを扱う場合は、それぞれのモダリティ毎に専用の感知モデルを設計し利用する必要がある。
PFN岡野原氏によるAI解説:第75回
遺伝子配列からタンパク質の立体構造を決定する問題、いわゆるProtein Folding問題は生命科学におけるグランドチャレンジとして50年近く、多くの研究者が取り組んできた。タンパク質の立体構造がわかれば生体内の様々な機構解明につながる上、疾病の原因解明や創薬につながると期待されている。
PFN岡野原氏によるAI解説:第74回
2021年7月6日、Preferred NetworksとENEOSの共同出資で設立されたPreferred Computational Chemistry(略称PFCC、筆者が代表を務めている)は汎用原子レベルシミュレーターMatlantis1)をクラウドサービスとして提供開始したことを発表した…