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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 遺伝子配列からタンパク質の立体構造を決定する問題、いわゆるProtein Folding問題は生命科学におけるグランドチャレンジとして50年近く、多くの研究者が取り組んできた。タンパク質の立体構造がわかれば生体内の様々な機構解明につながる上、疾病の原因解明や創薬につながると期待されている。

著者の岡野原大輔氏
著者の岡野原大輔氏

 タンパク質の立体構造は実験を通じて決定できる場合もあるが多くの労力とコストが必要である。決定するには対象のタンパク質を大量に発現させ、精製した上でX線結晶構造解析、低温電子顕微鏡(クライオEM)などで測定し構造を決定する。1つの構造を決定するのに数日から数カ月を要し、時には数年かかっても決定できない。また、多くのタンパク質は実験的に構造決定が難しい場合が多い。例えば生命現象としても創薬のターゲットとしても重要な膜タンパク質は膜の中の構造を保ったまま取り出すことが難しく、疎水性があり結晶化も難しい。ヒトのタンパク質の17%が構造決定されており、残りは未決定であった。