Robotics法律相談室
目次
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「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」改訂点の概要とは
2022年3月30日、経済産業省と総務省は「カメラ画像利活用ガイドブックver3.0」を公表した。筆者も改訂作業に関わったので、同ガイドブック「ver2.0」から4年を経て、どの点が改訂されたかを概観する。
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経済安全保障法案では基幹インフラ防護にどのようなサイバーセキュリティ対策が求められるか
近時、サイバーセキュリティの観点でサプライチェーン・リスクへの対策が重要とされている中、2022年2月25日に「経済政策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案」(以下「経済安全保障推進法案」)が提出された。昨今注目を集める「経済安全保障」という概念は、確立した定義はないが、軍…
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自動配送ロボット事業実現のための道路交通法改正案はどのようなものになるか
警察庁「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」は2021年4月に中間報告書を、同年12月に報告書(以下「最終報告書」という)を公表した。
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仮想空間(メタバース)にはどのような法的課題があるか
仮想空間とは、多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できるインターネット上に構築される仮想の3次元空間のことをいい、メタバースとも呼称される。なお、「メタバース」は、「メタ」(超越)と「ユニバース」(宇宙)を組み合わせた造語である。
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ロボットと人とエレベータの関係はどうあるべきか
2021年11月、建物の警備ロボットがエレベータから降りようとしている一般客の進路を一時的に妨害したとして、ロボットの運営会社が謝罪・報告文を公表した。
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脅威を増すランサムウエア攻撃、身代金は支払っても問題ないのか
ランサムウエアは、従来、不特定多数を標的として、感染端末のデータを暗号化し、元に戻して欲しければ身代金を払うように脅迫するというマルウエアであったが、ここ2~3年で傾向が大きく変化している。いわゆる標的型攻撃にランサムウエアが用いられるケースが増加するとともに、データ窃取後に暗号化し、データ復元に…
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JR東日本が公表した顔認証システムはどこが問題だったのか
2021年9月21日の読売新聞は、「JR東日本が7月から、顔認識カメラを使って、刑務所からの出所者と仮出所者の一部を駅構内などで検知する防犯対策を実施していることが、わかった」「対象は(1)過去にJR東の駅構内などで重大犯罪を犯し、服役した人(出所者や仮出所者)(2)指名手配中の容疑者(3)うろつ…
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ドローンのレベル4実現に向けた航空法改正(機体認証・操縦ライセンスの創設等)とは
ドローンの登録制度を導入した2020年6月の改正に続き、本年6月も航空法が改正された(2021年6月11日公布)。機体の安全性の認証(機体認証)及び操縦者の技能証明(操縦ライセンス)の各制度の創設、第三者上空飛行の条件設定など、ドローンの有人地帯における目視外飛行(レベル4)の実現に向けて重要な改…
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DX時代のプライバシーガバナンスガイドブックver1.1はどのようなものか
経済産業省と総務省は、2020年8月に「DX時代におけるプライバシーガバナンスガイドブックver1.0」を公表し、2021年7月に同ガイドブックver1.1に改訂した。ガイドブック策定の背景としては、DX化により、イノベーション創出が進む一方で高まるプライバシー保護への要請に能動的に取り組む必要が…
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無人自動運転移動サービス実現に向けた、道交法改正の方向性はどのようなものか
警察庁に設置された「令和2年度自動運転の実現に向けた調査検討委員会」は、2021年4月1日、「自動運転の実現に向けた調査研究報告書」(以下「本報告書」という。)を公表した。本報告書は、「官民ITS構想・ロードマップ2020」において、2022年度頃に遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスの開始を目…
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ギグ・エコノミーの運営企業として、注意すべきワーカーとの関係とは
ギグ・エコノミーとは、インターネットを通じて短期・単発の仕事を発注・受注する事業形態をいう。ギグ・エコノミーは、運営企業にとって、必要なときだけ労働力を調達できる利点があり、ギグ・ワーカーにとって、労働機会の拡大や副収入の増大という利点がある。他方、ギグ・ワーカーは、報酬額の不安定さや傷病・事故の…
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EUのAIに関する包括規制案の内容とは
EU(欧州連合)は、2021年4月21日、AI(人工知能)に関する包括的な規制案(AI規制案)を公表した。欧州連合は、2020年2月に「White Paper on Artificial Intelligence」を公表するなど、AIについて、開発を促進しつつ、その使用に伴うリスクを制御すべく規制…
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自動配送ロボットの社会実装には、どのような制度的課題があるか
2021年3月22日の日本経済新聞電子版は、政府が自動配送ロボットの公道(歩道)走行を認めるため今年度にも関連法改正を目指すと報じた。自動配送ロボットは、宅配事業における人手不足や、コロナ禍における接触回避への需要が見込まれている。
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2020年改正からさらに改正される個人情報保護法の改正案とは
2021年2月9日に、デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案とともに、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(以下「整備法案」という)が提出された。整備法案には、個人情報の保護に関する法律(以下「個情法」という)の大幅な改正も盛り込まれており、2020年に改正された個情法…
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来場者の体温を計測することは合法なのか
日仏の弁護士資格を持つ金塚彩乃氏による2020年11月17日付の朝日新聞社ウェブサイト「論座」への投稿によれば、緊急事態宣言下のフランス行政最高裁判所(コンセイユデタ)は同年6月26日、市役所入口に設置された装置による自動的な体温測定は、本人の明確な承諾又は適切な法律に基づくものでない限り、欧州一…
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日本のAIガバナンスはどうなっていくのか
様々な分野や用途でAIの活用が急速に進む中で、AIシステムに対する規制の在り方についても国際的な議論が進んでいる。
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テレワークやワークシェアリングは労働法制の抜本的変革をもたらすか
コロナ禍で一気に広まったテレワークは「コロナ後」も生き残るだろう。テレワークは通勤や職場間移動を伴わない労働を可能にした。未来の技術としては、一人が数体のアバターを操作して、同時に複数の場所で異なった作業を行う「サイバネティック・アバター」も研究されている。
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民生宇宙探査活動の原則について定めた「アルテミス合意」の内容とは
第65回
2020年10月13日、日・米・加・英・伊・豪・ルクセンブルク・UAEの8か国が「アルテミス合意(The Artemis Accords)」に署名した。この合意は、「米国提案の国際宇宙探査「アルテミス計画」を含む広範な宇宙空間の各国宇宙機関による民生宇宙探査・利用の諸原則(宇宙空間の遺産の保全や宇…
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自動運転車の事故と「信頼の原則」について
第64回
2020年3月、文部科学省は令和2年度の戦略目標及び研究開発目標の1つとして、「信頼されるAI」を掲げた1)。しかし技術者にとっては、信頼といっても、その中身が曖昧すぎて、どうやって実装するのか悩ましいのが本音と思われる。
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オンライン診療・服薬指導に関する法規制はどうなっているか
新型コロナウイルス感染拡大を受け、他者との接触を避けて診療・服薬指導を行うことができるオンライン診療・服薬指導が注目されている。直近では、LINEヘルスケアが「LINE」で利用できるオンライン診療サービス「LINEドクター」の提供を2020年11月から開始する旨を発表する等、オンライン診療・服薬指…