全1472文字
PR
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 日仏の弁護士資格を持つ金塚彩乃氏による2020年11月17日付の朝日新聞社ウェブサイト「論座」への投稿によれば、緊急事態宣言下のフランス行政最高裁判所(コンセイユデタ)は同年6月26日、市役所入口に設置された装置による自動的な体温測定は、本人の明確な承諾又は適切な法律に基づくものでない限り、欧州一般データ保護規則(GDPR)に反し違法と判断した、とのことである。

  金塚弁護士によれば、「体温…は健康状態、つまり病気であるか否かを測定する重要な情報であり、いわゆるセンシティブ情報に該当する。GDPRでは、個人情報は個人の尊厳と人権にかかる問題である」以上、裁判所は「体温測定は人権侵害になる」と判断したと記している。

 日本において、店頭等の入口に体温の自動計測装置が設置されることは、既に日常となっている。しかし、フランスの裁判所で違法の判決が出たのなら、日本でも同様の事態が生じるだろうか。