日本のロボットベンチャーのエクイティ調達額として過去最大となる約100億円もの資金を調達したGROOVE X注1)。2015年11月の創業後、約4年の歳月を掛けて開発した家庭向けロボット「LOVOT」の出荷が2019年12月、いよいよ始まった。
80億円近くの資金を投入し、約100人ものエンジニアが開発した渾身(こんしん)のペットロボットはいかなる出来栄えなのか(図1)。
現代の複雑なロボットの要ともいえるソフトウエア面、さらには5700個もの部品から成るセンサ満載のハードウエア面、その両面から、最新ロボットの構造、仕組みを今号では見てみよう。
まず、LOVOTの位置付けを簡単に振り返る。LOVOTはソニーのaiboと似たコンセプトのペット的なロボットだ。ユーザーと言語による会話はしないが、カメラやサーマルカメラで人を頑健に認識し、よく会う人を覚える。音声認識により人の呼びかけも認識する。そして、瞳の表情や視線、首を横にかしげたりといったノンバーバルな身体の動作で、ユーザーへの愛着を表現することを狙ったロボットである。