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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 パナソニックがディープニューラルネットワーク(DNN)の規模の軽量化に利用する新技術の開発を進めている。同社が掲げる目標は、ロボットなどの組み込み機器に向けたDNNの開発工数を5割削減することである。

 そのための手段として、規模を縮小する前後でDNNの振る舞いを可能な限り一致させるという発想を打ち出した。圧縮しても挙動が同じという意味を込めて、同社はこの方式を「ロスレスAI」と呼ぶ。

 2020年6月に開催された「第26回 画像センシングシンポジウム(SSII2020)」で初期の検討結果を発表した1)。この時点では高い効果を得られていなかったが、その後の改良でDNNの挙動の一致率を98%まで引き上げることができた。パナソニックによれば、これだけの一致率があれば、人月で表した開発工数全体を35%削減可能という。さらなる改善で振る舞いの一致率を高め、開発工数の半減を目指す。

挙動の変化で開発に手戻り

 なぜ圧縮前後のDNNの挙動が、開発工数の削減と関係するのか。