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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 長らく研究開発に特化してきたロボット専門企業、米Boston Dynamics社が2020年6月、ついに自社ロボットを商用化した。創業以来作り続けてきた4脚歩行ロボットをこれまでよりも小型化し、「Spot」という名称で販売し始めた。価格は7万4500米ドル(約800万円)である。

 Spot自体は汎用のプラットフォームであり、「掃除ロボット」や「警備ロボット」のような特定のアプリケーションが内蔵されている訳ではないが、Boston Dynamics社はナビゲーション関連や周囲の環境を認識するAPIなどを用意している。SDKを使ってユーザーが自らアプリケーションソフトを構築すれば、自律的に運用できる。歩行機能で階段など最大30cmの段差がある空間も走破できるため、車輪型の移動ロボットと比べて、運用できる範囲が広がる。米国では既にゼネコンが建物現場の計測、石油化学プラントの企業が装置の監視などに利用し始めている(図1)。

図1 現場で使われ始めたBoston Dynamics社のSpot
図1 現場で使われ始めたBoston Dynamics社のSpot
写真は米国のゼネコン、Hensel Phelps社の現場で使われている様子。(写真:HoloBuilder社)
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要の油圧を捨て商用化

 Boston Dynamics社の技術の要は、やはり油圧駆動関連である。DARPAなどの資金で開発した大型の4脚ロボット「BigDog」、より軽量化した「Spot Classic(旧Spot)」、宙返りなどアクロバティックな動きを実現して世界を驚かせた人型の「Atlas」(図2)など、これまでYouTube動画で耳目を集めてきた同社のロボットは基本的に全て油圧駆動型だった。