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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 安川電機は、かねて開発を続けてきたディープラーニング(深層学習)ベースのバラ積みピッキング技術を事業化した。

 製品名は「Alliom(アリオム) Picking」。東京に拠点を置くAI子会社のエイアイキューブ(AI Cube)が開発した(図1)。ディープラーニング技術によるフレキシビリティを生かし、既存のピッキング技術では難しい不定形物や柔軟物などの把持に向ける。半透明の物体なども90%以上の高い精度で把持できる。

 学習用のツールのライセンス価格は数百万円ほど。工場での利用を想定し、Windowsに対応する。既に安川電機の社内の工場では部品などのピッキング用に稼働しているという。

図1 ディープラーニング技術ベースの把持技術を事業化
図1 ディープラーニング技術ベースの把持技術を事業化
2020年9月から販売を開始した。既に安川電機の工場では、部品の把持などで稼働している。
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 産業用ロボットの大手メーカーがディープラーニングベースのピッキング技術を製品化するのは、ファナックに続いて2社目である。ファナックの製品は出資先のPreferred Networksとファナックが共同開発したが、今回、安川電機は自社グループ内で開発した。

 特徴は、ディープラーニングで必要になる大量のデータをロボット実機ではなく、シミュレータ上で自動生成する点である。ディープラーニング技術を内部で用いてはいるものの、ユーザーが現場で大量のデータを用意する必要がないため、導入が容易になる。アノテーションも不要だ。

 開発したエイアイキューブは、安川電機が2018年に設立したAI企業である。社員は約20人。ディープラーニング技術などのソフトウエア開発に特化しており、営業については主に安川電機本体に任せている。

 安川電機には、通常の剛体部品向けのバラ積みピッキング製品「MotoSight3D」が以前からあり、その部隊が今回のAlliom Pickingについても販売を手掛けているという。Alliom Pickingは安川グループ外での導入事例はまだないが、潜在顧客となるユーザーから把持対象のオブジェクトのデータを提供してもらい、エイアイキューブ側の環境で学習させてみるといった実証は、既に数社と実施している。