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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 移動ロボットの経路計画(path planning)やアームの動作計画(motion planning)において、ディープニューラルネット(DNN)を使って高速化しようとの試みが最近増えてきている。経路計画や動作計画は、広大な空間から適切な経路・動作を探索するものであるため、本質的に時間が掛かる処理である。それを機械学習による事前知識を利用することで効率化し、短時間で実行できるようにしようとの狙いだ。

 例えば、トヨタ自動車は米University of California San Diegoが開発した「Motion Planning Networks(MPNets)」1)という手法を拡張し、自社のロボット「HSR(Human Support Robot)」向けにそうした技術を開発している2)

 従来、こうした試みではサンプリングベースの動作計画手法を組み合わせることが多かった。動作計画器(planner)が生成した動作をDNNに模倣学習させて、より短時間に動作を得られるようにしたり注1)、DNNで空間中の重要そうな領域に当たりをつけ、そうした領域を重点的にサンプリングしたりするといったアプローチである。

 そして、ディープラーニング技術でplannerを高速化しようとのトレンドが、今度はサンプリングベース以外の手法にも広がってきた。オムロンのAI子会社であるOMRON SINIC X(OSX、オムロン サイニックエックス)が、伝統的な経路探索手法である「A*」をディープニューラルネットと組み合わせ、従来のA*と比べて5倍ほど高速化することに成功した(図13-5)。A*は解となる経路が存在すれば最終的には必ずその経路を発見できることが保証されている。今回の技術はその利点をA*から継承しつつ、探索を効率化した(表1)。現在は2次元のグリッド上での経路計画向けだが、今後、ロボットアームなどの動作計画に利用できるよう、高次元の連続空間向けに拡張していく。