全5748文字
PR
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 NECは遠隔操作するロボットを使って、物流現場や工場での作業を効率化するシステムの実用化に乗り出した。そのプロトタイプとして、バラバラに置かれた複数のモノをロボットが所定の場所に搬送する「Pick & Place」作業を想定し、システムを試作。実際のユーザーと協力して改良を進め、2~3年後の実稼働を目指す。

 最大の特徴は操作者1人で複数台のロボットを操作できることである。操作者の簡単な指示に応じてロボットが自動的に作業を実行するため、作業を任せるロボットを次々に切り替えて利用できる。

 これを可能にするのが、NECが2020年に発表した独自のロボット制御技術だ1)。搬送したいモノの位置を指定するだけで、具体的な作業の手順や制御の詳細をシステム側が自動的に生成できる。この技術を用いることで、ロボットが必要に応じてモノをいったん別の場所に退避させるなど、複雑な動作が操作者の指示なしで自発的に生まれることを確認済みである。今回実用化を進めるに当たって、衝突回避の対象の拡大や動作生成の高速化などを施した(図1)。2020年に発表したシステムでは動作生成の計算に数分要していたが、今回のシステムでは秒のオーダーまで低減できた(詳しくは後述)。