ソニーグループ(以下、ソニーG)がロボット技術の開発を積極化させている。本誌が2021年12月号で解説したように、2021年9月には新型アクチュエータを採用した4脚ロボット「Tachyon」を発表したばかりだが1)、今度は新型のマニピュレーション技術を披露した注1)。
摩擦係数や質量、ヤング率など対象物についての事前情報が何もなくても、適切な力で掴めるようにする技術だ。グリッパー向けに独自の触覚センサを開発し、そこで得た情報を基に、平行グリッパーの把持力を適応的に制御する。実演では、バラの花や菓子のエクレアなど変形しやすい繊細な物体について、事前情報なしにつぶさずに把持できることを示した(図1)。
力加減が難しいグリッパー
現在、ロボットでのマニピュレーションは吸引型ハンドで実施されていることが多い。製造現場での搬送、物流現場でのピッキングなど多くが吸引型ハンドだ。ただ、吸引型ハンドで扱いにくい物体は多くある。表面に凹凸があるもの、空気圧が抜けてしまうような網状のもの、不定形物、吸引すると破損してしまうような繊細な物体などだ。食品などがその代表例である。こうしたものを扱う現場に今後、ロボットをより普及させていくには、グリッパーでの把持技術の一層の向上が必要だ。