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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 様々な用途でディープニューラルネットワーク(DNN)の開発が猛烈な勢いで進んでいる。新たなアーキテクチャが次々に登場し、利用できる選択肢は増える一方だ。その中から用途に合わせた候補を選ぶ上で、性能の目安となるのが各種の評価指標である。DNNの性能の順位付けには、それぞれの分野で標準的な評価指標に基づくベンチマークテストを使うのが一般的といえる。

 この状況に一石を投じたのがサイバーエージェントである。同社は、物体検知用DNNの評価に広く利用されてきた指標が、必ずしもユーザーが調べたい項目を反映しない場合があると考えた。同社は、異なる観点で物体検出の性能を評価する新たな指標「OC-cost(optimal correction cost)」を開発1)。2022年6月に開催される画像処理分野のトップカンファレンス「CVPR(Computer Vision and Pattern Recognition Conference)2022」に論文が採択された。

 これまで物体検出の性能評価の基準となってきたのは、「mAP(mean average precision)」と呼ばれる指標である。