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東芝が2022年5月に発表した物体検出DNNの新技術は、非常に目を惹く特徴を備えている。学習用のデータに存在しなかった物体でも、画像を1枚〜数枚登録するだけで高い精度で検出できるようになることだ(図1)。しかもDNNを再学習(ファインチューニング)する必要がなく、その場ですぐ検出が可能になるのである。
複数枚の画像で新規の物体を検知するタスクは「FSOD(few shot object detection)」と呼ばれ、これまでも多くの技術が提案されてきた。ただしほとんどの技術は基本的に再学習が必要で、GPUなどの高速なハードウエアを使っても数時間以上かけなければ修正ができなかった。画像の登録だけで済む技術はあったものの、検出精度が限られていた(図2(a))。