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本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です
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 強化学習技術の利用が2足歩行ロボットにまで広がってきた。

 2022年9月、米国のロボットベンチャーであるAgility Robotics社と米Oregon State University(OSU)が、自社の2足歩行ロボット「Cassie」で100m走を行い、24.73秒で2足歩行ロボットとしてのギネス世界記録になったと発表した。強化学習で得た制御器(方策)でロボットを走らせ、記録を実現した(図1)。

図1 100mを24.73秒で走破
図1 100mを24.73秒で走破
2足歩行ロボットによる100m走として最速とギネス世界記録に認定された。(写真:Oregon State University)
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 Agility Robotics社はOSU発のベンチャーで、米Carnegie Mellon University出身のロボット研究者(OSU教授)、Jonathan Hurst氏らが2015年に共同創業した。現在までの資金調達額は累計で約1億7800万米ドル(約260億円)にも上る。2020年にはヒューマノイド型の2足歩行ロボット「Digit」を商用製品として発売している。米Boston Dynamic社の「Atlas」ほど派手な動きはできないが、ヒューマノイド型を商用化しているという意味では、同社より先行しているとも言える。